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第8回 サマースペシャル 1

隠岐・西ノ島へ行こう!

 今回から2回に渡り、車いす探検隊・サマースペシャルとして夏のおすすめ観光地をご紹介します。1回目の今回は隠岐・西ノ島へ行こう!です。隠岐の中で一番の景観と称される国賀(くにが)海岸を有する西ノ島をクローズアップしてご紹介します。介護者に同行してもらい車いすで西ノ島へ行かれる場合のポイントも合わせてご紹介します。


隠岐・西ノ島とは?

 山陰の島根半島の沖合い約65km、日本海に浮かぶ隠岐諸島は4つの有人島、大小180余りの無人島から成り立つ群島型離島です。本土から見て前方にあたる西ノ島、中ノ島、知夫里島の3つをあわせて島前(どうぜん)と呼び、後方にある島を島後(どうご)と言います。西ノ島は1つの島で1つの町、西ノ島町(島根県隠岐郡西ノ島町)を形成しています。

西ノ島町

西ノ島町観光協会

隠岐観光株式会社
おすすめ観光スポット

国賀海岸
 西ノ島観光のメインとなる隠岐を代表する世界一級の景勝地です。巨大な刃物で一気に切り落としたような大絶壁「摩天崖(まてんがい)」、二つの洞窟が奥でつながっている「明暗(あけくれ)の岩屋」、中でも天然の陸橋「通天橋(つうてんきょう)」は、絵葉書などに必ず登場する見所の一つです。国賀海岸は陸から見ても観光船で海から見ても絶景ばかりです。国賀海岸から見る夕陽も最高です。


国賀海岸のシンボル 摩天崖

鬼舞(おにまい)・赤尾(あかお)スカイライン
 スカイラインといっても牧畑を管理する牧道。島の稜線を走り、眺望が開けていることからスカイラインといわれるようになり、陸上観光コースとなっています。島前内湾と日本海を同時に見渡せる絶妙な自然景観は多くの方に好評を得ています。鬼舞地区の近くには映画版・未来日記に登場したヒメヒマワリの丘があります。

赤尾展望所
 ここからは国賀海岸を一望する事ができます。天下無双の「摩天崖」、巨大な岩の架け橋「通天橋」、大小無数の島々が点在しています。一方では海岸の荒々しさとは対照的に断崖の上には一面緑の草原で、放牧の牛・馬が草を食べる、放歌的な風景を見ることが出来ます。


赤尾展望所から見た国賀海岸

船引(ふなひき)運河
 島のほぼ中央を南北に横切る船引運河。大正3年の7月に工事を起工、翌年3月に工事が完了しました。漁業・観光に役立っています。

東国賀海岸
 西ノ島の北東部の海岸一帯を東国賀といっていますが、東側の国賀ということで観光のために付けられた名称です。秋には紅葉、岩場には緑も見られる風光明媚な海岸で玄武岩が連なる国賀海岸の景観とは対照的なものがあります。東国賀海岸は陸からはあまり見えませんので、観光船でお楽しみ下さい。

西ノ島大橋
 美田(みた)湾に架かる海上橋で今年の4月に開通しました。島の東西の玄関口の別府港と浦郷港を最短距離で結ぶ西ノ島の新しいシンボルです。

海釣り公園センター
 気軽に魚釣りが楽しめるフィッシングデッキ(釣り桟橋)です。水道、電話、トイレ、休憩所が完備され、簡単な料理ができる調理台まで揃っています。また、水中カメラからデッキの下にいるたくさんの魚をモニターで観察することもできます。通路は車いすでも通れますので、魚釣りを存分に楽しんで下さい。
西ノ島へのアクセス

 本土(本州)から西ノ島へ行くには境港(鳥取県境港市)、七類港(島根県松江市美保関町)、加賀港(島根県松江市島根町)のいずれかから隠岐汽船のフェリーまたは高速船を利用します。(加賀港へ唯一寄港する高速船レインボーは現在休航中。7月15日より再開。)
 西ノ島での寄港地は別府港、浦郷港のどちらかです。本州のどの港と西ノ島のどの港を結ぶか(隠岐の他の島の港を経由する場合もある)は季節や時間帯(午前・午後)によって大きく異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

隠岐汽船株式会社(時刻表と本社・各営業所の電話番号が掲載されています。)


浦郷港に停泊中のフェリー
車いすでの隠岐汽船への乗船

 車いすで隠岐汽船へ乗船する場合は、隠岐汽船ターミナルで乗船券を買われる際に車いすであることを告げて乗下船や船内での手助けをお願いしておいて下さい。そうしておくと車いすで利用しやすい客席を空けてもらえたり、手助けをしてもらいやすくなります。もし困ったことがあれば、遠慮無く最寄りの係員に声がけをして下さい。
 それでは、車いすで隠岐汽船へ乗船する場合のポイントを船のタイプごとにご説明します。

フェリーの場合
 フェリーの本土側の発着港は七類港か境港のどちらかで、西ノ島の発着港は別府港か浦郷港のどちらかです。
 まず最初に隠岐汽船ターミナルで乗船券を購入します。客室のランクによって料金が異なります。一等室以上はかなり高額ですのでおすすめしません。そのお金は隠岐に着いてから料理や遊ぶことに使われたほうがいいと思います。二等室は一番安い分かなり混み合いますので、特別二等室をおすすめします。
 七類港、境港、別府港のいずれの隠岐汽船ターミナルにもボーディングブリッジ(空港で飛行機に乗る時に使う歩道橋と同じようなもの)が設置されていて、ターミナル内のエレベーターでボーディングブリッジ出入口がある階まで上がり、ボーディングブリッジを渡ってフェリーに乗り込みます。ブリッジとフェリーの接続部までは緩い坂になっている箇所もありますが、全く段差はありませんので車いすでも問題なく通ることができます。ブリッジとフェリーの接続部はちょっとした段が1段ありますので気をつけて乗り込んで下さい。
 浦郷港の隠岐汽船ターミナルにはボーディングブリッジがありませんので、係員にお願いしてフェリー内のエレベーターを使いフェリー1階の車両甲板から船外へ出入りして下さい。車両甲板は車止めが多数露出していますし、自動車が出入りしている場合もありますので気をつけて下さい。
 フェリーの中では車いすのままおられる場合は洋室(特等室)以外の客室では構造上ずっと車いすのままでいることはできません。特別二等室をはじめほとんどの客室は中心に細い通路がありその両側に高さ15cm程度の絨毯が敷かれた土足厳禁の板間があり、歩行者は靴を脱いで上がります。その板間は10数人分ずつ通路と棚で区切られていて、他の多くの乗客と相席することになります。同行の介護者さんの手を借りて車いすから降ろしてもらって下さい。車いすはずっと通路に置いてあると他の乗客が通る際の妨げになりますので、係員に言ってエントランスの隅に折りたたんで置かせてもらって下さい。運良く板間の窓際の場所へ行くことが出来たらずっと海を眺めていることができます。基本的に客室では座るか寝転がるかして過ごします。手荷物は棚に置くことができますが、貴重品(お金の入ったポーチ等)は手元に置いておかれたほうがいいと思います。棚には枕や毛布がありますので自由に使って下さい。ただし観光シーズンで満席の時は毛布が全て撤去されていることもありますので、その際は係員に身障者であることを告げ毛布を貸してもらって下さい。
 フェリーが航行中もエントランスで売店を利用したり、屋上のデッキ(上甲板)で海風にあたりながら海を眺めたり、軽食堂(うどん、コーヒー、ジュース)で過ごすこともできます。いずれの場所も車いすで利用できます。デッキや軽食堂へ行く際はエレベーターを利用して下さい。ただし、エレベーターは航行中に船の揺れが激しい時は一時的に停止することもありますので、係員に声をかけてから利用したほうが無難です。車いすのまま入れる身障者トイレはエントランスの脇にあります。船の揺れが激しい時は転倒の恐れやデッキで海水の飛沫を浴びる恐れがありますのでトイレ以外の時は客室にいて下さい。
 フェリーへマイカーを積み込むこともできますが、かなり高額(片道2万円前後〜)ですのでおすすめできません。そのお金は隠岐に着いてから料理や遊ぶことや観光タクシーに使われたほうがいいと思います。

高速船レインボー1・2の場合
 高速船の本土側の発着港は七類港、境港、加賀港のいずれかで、西ノ島の発着港は別府港か浦郷港のどちらかです。
 まず最初に隠岐汽船ターミナルで乗船券を購入します。料金は全席一律です。
 高速船の乗降はいずれの港でも隠岐汽船ターミナル前の岸壁のタラップで行います。タラップを車いすで通ることはできませんので、同行の介護者さんか係員に岸壁から座席まで抱えて移動させてもらって下さい。車いすは折りたたんで客室の隅に置かせてもらって下さい。
 高速船は乗客が客席かトイレ以外に行くことができませんし、車いすでは船が揺れた際に危険ですので、航行中は座席に座っていて下さい。窓から海を眺めることができます。


別府港から出航しようとしている高速船レインボー

身障者割引が使えます
 乗船券購入時に身障者手帳を提示すれば身障者割引が適用され車いす利用者等の身障者1名と介護者1名の運賃が半額(身障者割引二種の場合は本人のみ半額)になりお得です。(余談ですが、身障者割引が適用されたキップには怪我ではないのに身障ではなく身傷という赤文字のスタンプが押されます。現在は改善されているかもしれません。)
西ノ島でのアクセス

 西ノ島内での交通手段はタクシーかレンタカーかバスですが、車いすでの旅ですのでタクシーかレンタカーを利用することになります。車いすのまま乗れる福祉タクシーは鏡谷(かがみたに)タクシーさんだけが保有しています。台数はあまりないと思いますので事前に予約されたほうがいいと思います。普通のタクシーやレンタカーの場合は車いすを折りたたんで座席に座って下さい。いずれのタクシー会社も観光タクシーのサービスをしていて、運転手さんが観光案内をしながら観光地を回ってくれます。事前に問い合わせて下さい。

鏡谷タクシー 福祉タクシー・ふれあい号
TEL 08514-7-8321

原タクシー 08514-6-0056
美田タクシー 08514-6-1221
くにがレンタカー 08514-7-8088
バリアフリーのホテル「リゾ隠岐ロザージュ」

 西ノ島で車いすのまま利用できる宿は残念ながらわずかです。そんな中、ホテル「リゾ隠岐ロザージュ」がおすすめです。10年前にオープンした新しいホテルですので綺麗で快適に過ごすことができます。ロザージュは海岸沿いにあり、窓から見える景色は絶景です。ロザージュも100%バリアフリーではないですが、洋室と身障者トイレがあり、ホテル内は車いすで自由に動くことができます。リゾ隠岐ロザージュを拠点に楽しい旅行を満喫して下さい。

リゾ隠岐ロザージュ
観光船で国賀めぐり

 国賀海岸の良さを全て知るには、陸から見るだけではなく、やはり観光船(遊覧船)で海からも見たほうがいいでしょう。しかし、観光船は通路が狭くバリアフリーではありませんので乗り込むのに多少の苦労が必要です。介護者さんが2人おられたら大丈夫だと思います。観光船の椅子は固いのでお尻の下に敷くクッションを持っていかれることをおすすめします。
 観光船のコースは、浦郷港発着の運河・国賀海岸をめぐるAコース(1時間20分・2040円)、別府港発・浦郷港着の東国賀海岸・国賀海岸・運河をめぐるBコース(2時間・3210円)などがあります。観光船の乗り場は、浦郷港と別府港にあり、いずれも隠岐汽船ターミナルから歩いてすぐのところにあります。

隠岐観光株式会社
おみやげを買おう

 隠岐のおみやげは、活サザエ、活アワビ、サザエの缶詰、岩のり、わかめ茶漬け、隠岐誉(日本酒)、海草焼酎・・・など海産物が豊富です。土産物店は別府港と浦郷港の隠岐汽船ターミナルの近くに何軒かあります。港町をゆっくり回ってとっておきのおみやげを探されてはいかがでしょうか。リゾ隠岐ロザージュや隠岐汽船ターミナルの売店にも多少おみやげがおいてありますのでお時間がない時はそちらで購入して下さい。
この夏はぜひ隠岐・西ノ島へ

 やはり隠岐・西ノ島を満喫するには夏が一番です。この夏は西ノ島への旅を計画されてはいかがでしょうか。